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小池 陽子レポート(1)
~ダンサー・振付家として、フェスティバルでプレゼンをしてきました~

Filed under: Sep. 2018, 『CDE』マカオ2018 レポート海外版


2018年9月13日(木)〜9月15日(日)
マカオで唯一のコンテンポラリーダンス・フェスティバル、Macau Contemporary Dance & Exchange Springboardにゲストとして参加してきました。近隣のアジア諸国から参加アーティストやゲストが集結。11作品がならんだ3日間を写真や動画とともにレポートします。
 
9月13日、フェスティバル会場の舊法院大樓 (Old Court Building)では、各参加アーティストのテクニカルリハーサルが行われていました。カジノのイメージが強いマカオ、エンターテイメント専用の劇場はいくつかあるらしいのですが、コンテンポラリー・ダンス作品の上演に適した劇場は殆どないそうです。
今回の会場、舊法院大樓は旧裁判所。趣はありますが劇場としての設備は簡易的なものしかなく、作品によってはテクニカル面で苦戦を強いられていました。
どんな環境でも、その条件の中で最大限の効果を考え、柔軟に対応するアーティストたち。
常に新しい表現を創り出していくことがコンテンポラリー・ダンスの使命の一つでもあるので、アーティストが臨機応変に対応しながら、その場で演出に手を加えることはよくあります。

 







本番がどんな仕上がりになるのか期待を胸に会場を離れ、マカオの街中へ。
「派手なカジノ」と「懐古的な世界遺産」という二面性持ち、様々な国の特徴が融合された、独特な色を持つ不思議な国。
2005年に「マカオ歴史市街地区」として世界文化遺産にも登録されています。





さて、ここでこのフェスティバルの詳細を紹介しておきましょう。

このフェスティバルの主宰Stella & Artists は、マカオの創作やコンテンポラリー・ダンスの発展を促進するために2013年から毎年Solo / Duets Showcaseを開催してきました。
徐々にダンス・プラットホームとして発展していき、2017年 “CDE Springboard”と名称を変えました。
2018年、CDE SpringboardはHong Kong Dance Exchange, NDA (New Dance for Asia) International Festival, M1 Contact Contemporary Dance Festivalと提携し、マカオのダンサーが国際的に活躍する機会を作りました。
地元マカオのアーティスト6組と日本、シンガポール、韓国、台湾からの4組のアーティストが参加し、それぞれ特色豊かな作品を上演、国際エクスチェンジ・プログラムを持つコンテンポラリー・ダンスの国際フェスティバルとしてスタートしました。

マカオはバレエが大人気で、コンテンポラリー・ダンスは認知度が低く、いいダンサーや振付家が育ち難い環境とのこと。
このフェスティバルを通して、近隣アジア諸国の質の高いコンテンポラリー・ダンス作品に触れ、ワークショップで学ぶ機会を作ることで、マカオ国内のコンテンポラリー・ダンスへの理解を深め、ダンサーや振付家の質の向上を目指していると、フェスティバル・ディレクターのStella Hoさんが語っていました。
 




本番前、出演者・スタッフ全員で行うお祈りの儀式。



 

いよいよ本番!
それぞれの国の特色が表れていて、同じアジアでも全く異なる味わい。写真では味わいの違いまでは伝わらないかもしれませんが、いくつかをご紹介。
詳細は、こちらのリンクから ⇒ https://www.facebook.com/stellanartists/




《台湾》


振付家:Hsu Chen-wei


振付家:Hsu Chen-wei



《シンガポール》


振付家:Albert Tiong



《マカオ》

振付家:Elzira Rosario


振付家:Cheang Nga Man


終演後、出演者とテクニカルスタッフが勢揃いで記念撮影




3日目、セミナーでのプレゼンテーション。

英語のプレゼン、日本語ですら人前で明確でわかりやすく伝えることが苦手なので、なんども英文を読み返して事前練習しました。
トップバッターは、フェスティバル主宰者のStella Hoさん。マカオのダンス事情や“CDE Springboard”の歴史・目的・展望を説明されていました。
2番目が私。
今年立ち上げたダンサーのための教育プロジェクト“Dancers’ Nest”について、目的や実施結果報告をしていきました。
2018年のDANCERS’ NESTは、韓国で開催されたNew Dance for Asia(略:NDA)のプログラムの一環として、日本、韓国、マカオの3ヶ国で開催しました。
個人の活動でチャンスを掴みとる=「ARTISTS’ SURVIVING」をテーマに、ダンサーにとって必要不可欠な知識を学ぶセミナーや、ハイレベルのダンス技術や創造力の向上を目的とした多様で充実した一週間のプログラムを設けました。
なぜ、このプロジェクトを立ち上げたか、日本の現状を交えながら説明していきました。
時折、大きく頷く傍聴者に励まされながら、20分ほどのプレゼンを無事に終えました。
舞台で踊るより何倍も緊張…。
3番手は、New Dance for Asia-NDA International FestivalのディレクターYu Hosikさん。フェスティバルの歴史、コンセプトを説明されていました。

言葉で伝えることの意味…

プレゼンテーションは、英語で「表現、提示、紹介」という意味があります。
「ダンス作品」として発表されるものは、あくまでも身体が表現のベースで、身体によって「言葉を話す」ことが求められます。
私はダンサーなので、普段は言葉だけで伝えられないことをダンスで表現=伝えようとしていますが、言葉にしないと伝えられない大切なことも同じくらいたくさんあります。
今回の経験を経て、伝えたい内容を言語化して整理することで物事を客観化することができ、目的や問題意識がよりクリアになるので、現在地点から前へ進むためにとても重要な役割を持つことを実感しました。
 





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