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第1回          こころと技術と体力のバランス

 

バレエやダンスをする上でも、「心技体」といわれる精神力、技術力、体力のバランスは大事ですが、なかなか時間がなかったり、考える余裕がなくて取り組めないのは「こころ」の部分だと思います。

実際ダンサーにとって、ストレスが全般的な健康に影響を与え、演技不安のような問題を引き起こすことがありますので、早い段階で発見するのがよいと海外の舞台芸術医学でも言われています。

バレエやダンスをしている人にとっての普段のライフスタイルでは、踊り込む練習量や技術を学ぶ時間を減らすことは難しいと思いますので、ストレスからくる様々な影響を最小限に抑えるために、まずは知っておかなければならないことについてお話ししていきます。

自分自身のマイナスになり得るストレスに対処するスキルを身につけることは、メンタルだけでなく傷害を防止したり、傷害からの回復を促進したりすることも可能になります。これらのスキルは、演技(パフォーマンスの向上)にも繋がると考えてもらってよいと思います。


ただ、最近は様々な競技(特にアスリート)でメンタルについて色々注目されるようになってきているため、普段自分自身が技術やパフォーマンスのことばかりに集中していてたまたま失敗したりすると、今度は何に関しても自分のメンタルのせいかも… と思ってしまう子も増えているように思います。

ですが、メンタルだけが問題でない場合もありますのでそのままでは成長に伸び代がなくなってしまいます。そんな考え方ではもったいないです。

失敗した原因が実は大体の場合が技術や体力が絡んでいるのに、ステレオタイプにメンタルだけが悪いんだ!と決めてしまうのは間違った考え方を生むケースもあるのです。

メンタルはすぐには強化しづらいものだと考えられがちなので、「本番になったら緊張してしまって」とか、「気持ちが焦ってしまって」と、きちんと振り返らずに言い訳や逃げ道にしてしまって素通りしてしまうことも多いのです。

時間はかかるかもしれませんが、できるだけ普段の練習で体力や技術を見直しながら、メンタルにも問題があるかも?と関連付けて考える力を身につける必要があると思います。

 

「心技体」はそれぞれバラバラのものではなくそれらのバランスが大事ですので、しっかり自分自身と向き合っていきましょう。

最高のパフォーマンスを発揮するためにはもちろん体力、技術は大事ですが、メンタルも忘れてはならないということです。

それには「こころ」を調整することから始める必要があると思います。人によって、同じストレス状況下でもパフォーマンスの違いが生じるのは、この状況の変化を自分自身でどう感じて、どう認知し、行動したかということに起因します。

すなわち、周りがどうこういっても、自分自身でコントロール出来るようにならなければ意味がないのです。身体の動きも気持ちの整えも、実際は自分のこころ(脳)がコントロールしています。身体の動かし方も、その時の状況判断もやはり繰り返し練習するうちに、からだの神経の構造が徐々に変化していって、いつの間にか意識せずに行えるようになってくるのです。それが出来たときに、次の段階としてそれ以外のことにも注意を払える時間が増えていきます。

世の中には一口に「メンタル」と言ってもいろいろな考え方や方法論がありますが、まずは一つ一つ自分のメンタルの強いところ、弱いところを明らかにした上で、トレーニングをしていくのがよいと思います。そしてその延長上にあるパフォーマンスの向上に繋げていくのが自分自身で行えるメンタルスキルだと思います。

それでは次回は、練習効果を踏まえながらそのメンタルスキルについてお話ししていきたいと思います。

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メンタルケアコラム1 こころと技術と体力のバランス

谷田部かなか先生によるメンタルケアコラムの第一弾です。
怪我を予防しパフォーマンスを上げるために、まずは自分の「こころ」の状態を知り、調整していくことが必要です。

パフォマーだけでなく、ぜひみなさまに読んでいただきたい記事です。

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