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マシュー・ボーン in Cinema 『くるみ割り人形!』

振付家でダンサーの青木尚哉さんより
 
 
映画マシュー・ボーン『くるみ割り人形』を観ました。
 
まずは。
これが30年前に初演された作品ということに驚きました。全く古くないし、逆な言い方だと新しいわけではない。とてもクラッシック。いろんな意味で。
 
決して広くないスペース(舞台面)にコンパクトな少数精鋭のダンサー(20名のみ)で作られた88分はまさに最高級の重箱のようで。
 
日本人好みの切り取りの文化と相通じるセンスの連打にキュンキュンしました。
 
細部の細部にまで至る、アイディアの一つ一つに、芸術と人間への愛を感じます。
 
 
特に。
音楽とダンスの融合がハンパたなく、升目のように彩られたスペースに一音一音を正確にステップするダンサーの動きが最高に心地良い。
 
チャイコフスキーにも増してチャイコフスキー!!
 
 
ダンサーたちは。
自由自在に全身、特に表情をふんだんに使い、まるでセリフを話しているようで、終わるまで言葉を使わない世界であることを忘れていました。全ての登場人物に感情移入が可能!
 
 
映画としても。
舞台芸術の魅力を失わないまま、オイシいところは直近までカメラが寄ったり、無駄を省いたスピーディーで心地よい展開は、まさに歌わないミュージカルのようで見やすかったです。
 
ぜひ映画館で観てほしいです。
 
 
やっぱり最後に思うのは。
このようなものがどのように作られていくか?を考えると、文化芸術に対する愛と執念を思わざるを得ません。作品の良し悪しや好みの問題は別にしても、アイディアを形にしていく圧倒的な作業量と、土壌になる研究や育成の積み重ねに圧倒的な差を感じます。
 
これは僕がそれこそ25年ほど前にヨーロッパに行って現場を見て感じたのと同じ感想。少し前に比べるとすごく進歩してきているとはいえ、圧倒的な差はまだまだ埋まらないのか。
 
ただ。
叶わないなーと指を咥えて見ている時代でもなくなってきたと思っています。
 
 
大切なのは積み重ねていくこと。
マシューボーンはそれを怠らずにやるのだろうな、そしてこの『くるみ割り人形』から30年経ってもそれを続けているのだろうな、と想い勇気もいただきました。
 
ありがとうございました!!

青木尚哉

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2004年に来日公演が行われ大人気を博したマシュー・ボーンの『くるみ割り人形』がスクリーンに帰ってきます!
 
初演から30周年を記念して新たに収録された本作は、ボーン作品特有のウィットと毒をまぶしたユーモア、ポップでキュートな中に秘められたほろ苦さと優しさで、クリスマスの魔法をかけてくれます。
 
孤児院の少女クララが、カラフルなお菓子の国で出会う愛の試練と、本当の愛を見つけるまでの冒険の数々は、チャイコフスキーの名曲やハリウッドミュージカルを思わせる華麗な振付と相まって、大人から子供までみんなのハートを温めてくれることでしょう。
 
本編の楽しい様子が伝わってくる劇場予告編が完成しましたので公開します!
 
ぜひスクリーンで可愛いポップな世界をお楽しみください。
 
3/10(金)よりTOHOシネマズ日本橋、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズららぽーと福岡での1週間限定上映です。
 
お見逃しなく!!
 
 
 
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【青木尚哉さんプロフィール】
 
ダンサー・ 振付家。東京都あきる野市生まれ。
16才よりダンスを始める。加えて学んだボディーワークから 身体の構造を基とした自身のメソッド「ポイントワーク」を開発。
各地でワークショップを開催。近年は一般的な社会における「ダンスの活用」に視野を広げ、小学校への派遣授業や、地域公共ホールとのワークショップ公演なども手がける。
秋葉原の古民家ギャラリー「海老原商店」と提携し、劇場外での表現活動にも積極的に取り組む他、音楽家や映像作家等の異ジャンルとのコラボレーションにも活動の幅を広げている。
音楽会、オペラ、映画の振付を担当するほか、演劇では身体と空間の関係性に拘ったステージングとして舞台製作にも携わっている。
 

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