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河南達郎先生のセカンドキャリアインタビュー。前回はピラティススタジオを始められた経緯をお伺いしました。

今回はバレエダンサー時代のお話です。

 

【バレエを始めたきっかけは?】

 

神戶> まず子供の時のことをお伺いします。何歳ぐらいからどんなきっかけでバレエを始めましたか? 

河南> 最初に姉がバレエをやっていて、6つ上の姉がいるんですけど、母が送り迎えする上僕もいると大変だったみたいで、この子も入れちゃえ、というパターンだったようです。それが多分小学校入ってからです。

ただ真剣にバレエを週に 2 、3回やり始めたのは小学校高学年でしたね。それまでは月に3回4回行くくらいでした。
神戶> その頃は自分の意思で通っていたのではなかったのですね。
河南> そうですね、自分の意思ではないけど、でも好きで行っていましたね。楽しかった時代です。

神戶> 自由だった頃ですね。

河南> 一番自由だった頃です。
神戶> そこからバレエダンサーになりたいなとか、プロフェッショナルになり 

たいなって芽生えたのはいつ頃ですか?
河南> 小学校 6 年ぐらいの時です。中学校行くくらいの時に、母に、「好きなバレエ

をやるか、⻭の矯正をするか選びなさい」って言われたんです。

神戶> 究極の選択ですね。 

河南> ⻭並びがあんまり良くなくて、⻭の矯正にはすごい お金がかかるから、今バレエを続けるならさらにお金もかかるし、将来大学に行くにしてもそれもそれなりにお金がかかるから、どうするかって言われた時に、なんとなく⻭じゃなくてバレエやりたいなって思ったんです。

その時に、小学校卒業式の時に、もうバレエダンサーになりたいですって言ってましたね。

そこで、中学生になったときにスクールチェンジをしたんです。それまでは街のカルチャー教室のようなところに通っていたんですが。
神戶> その頃、バレエ以外には何か習い事をしていましたか?
河南> トランペットをやっていました。遊びですけど。楽器は続けるのはもっと大変だって親にずっと言われていて、バレエだったら、男の子だからまだなんとかなるって言われてたんですよね。

うちの母が、もともとモダンバレエの時代にモダンバレエをやっていた人で、何となく知識があったんですよね。 

神戶> なるほど、男の子は貴重な存在だから、ということですね。
河南> そうですね、最悪発表会でもなんでもやって食べていける、って感じですよね。

 

神戶> バレエ教室を変えてやって行く中で、もし自分がその中学、高校の時の自分に会えたとして、アドバイスしたいことはありますか?
河南> 本当のことを言うと、私、男なんですけど、最終学歴中卒なんですよね。

だから一回バレエが嫌だなって思ったときがあるのですが、じゃあ大学に行こうって思っても何も持っていない状態だったので、今考えると、ちゃんとやっておけばよかったんじゃ ないかな、って思います。

もうバレエしかない、という状態だったので、アドバイスするとしたら、きちんと、例えば高卒認定とるとか、という選択肢もあったのかなって思っています。

だから、途中から普通の生活に憧れました。普通の高校生活とか、楽しそうな大学生活とか、ほかの同世代の子達を見ていて。自分にはバレエしかなかったので。

 

 

 

【プロフェッショナルを目指して】

 

神戶> その危機感とか、自分で選択したんだからっていうことで、頑張れるということはありましたか?
河南> そうですね。もう引き返せないっていうのもあったし、家族にもこれだけやってもらっているからというので後には引けないというプレッシャーはありました。
神戶> その頃プロフェッショナルになりたいっ て思ったきっかけとか、憧れの人とか、どんなダンサーになりたいって思ってたと 

か。その頃の気持ちとかを教えてください。


河南> そうですね、最初は東京バレエ団の付属のバレエ学校のボーイズクラスにずっといたんですけど、その頃からバレエ団の公演とかに出してもらったりしていたので、バレエ団の男性達に憧れのようなものはありましたね。かっこいいなとか。上手に見えたし。その時は(笑)

実際それで生活するとかまではまだ考えていなかったんですけど、バレエ団に入って、こういう環境でやりたいなっていう風にはなんとなく思ってましたね。 

学生時代からバレエ団というのが目の前にあったのは、大きかったかもしれないですね。


神戶> 実際プロの人を見るというのは、なかなか舞台上とかでしか味わえないもので 

すからね。
河南> そうですね。リハーサルからずっと一緒にやらせていただいたりしていたので。 

その流れのなかで、自然に学生からプロになるというスタンスがあったんだと思いますね。 

神戶> プロフェッショナルになる人って、限られていると思うのですが、自分がなれた理由は何だと思いますか?


河南> 身⻑が他の人より高かった。
神戶> それは大きなメリットですよね。
河南> 留学する時も最低身⻑のラインとかもあったんですよ。

神戶> 身長があるというのは頼りにされるというか、いろいろな役をつけたいなって思わ れる要因ではありますよね。

 

河南> あとはプロになるって決めた時点で、主役とかをやる身分にはなれないなっていう のは、留学し始めた時点でもうわかっていたんです。なので、周りのみんなにいかに入り込めるかっていうところに集中していったっていう感じですね。 

神戶> 客観的に自分を見れるというのはかなりすごいことだと思 います。

河南> 日本にいる時は全然そういう感じではなかったんですけど、海外に留学 したときに、周りの子のレベルの高さを知りました。

神戶> でも首席で卒業しました、みたいなの読みましたが、、
河南> あ、あれは首席で進級したんですよね、2年から3年の時に。

でもそのあといきなり3年生になって、そのオーディションだったり、カンパニーの公演、 カンパニーワークみたいなのがあったんですけど、そこにすんなり入れなかったんですよね。

他の子よりテストの点数とかは高かったか もしれないんですけど、つまり、バリエーションを踊ることはできたかもしれないんですけど、向こうの人たちが見るのはそういうところじゃなくて、今どれだけ踊れるかということではなくて、いかに周りに馴染めるか、立ち姿歩き姿がどれだけ綺麗か、ということなんです。

そういうことになると外国の子達がすんなり持っていくんですよね。その子達がすぐに踊れるか、すぐ主役になれるかっていったら、そんなことはないかと思うんですけど、オーディションを始めたらその子達が先に取っていく。

というのも踏まえて、じゃあなんで自分は書類も通らなくて、同じ学校で、同じ学年にいるのに、省かれるのかって考えると、見た目だったり、ラインとか、バランスだったりとかなんだ、って気づいて、これじゃダメだ なって。

かといって、じゃあ超絶テクニックがあったり、熊川さんみたいにカリスマ性があったりするか、っていうとそうでもなくて。

自分がやっていくにはどこまで下げなきゃいけないのかなっていうのを常に考えていました。

例えば、結局そのあとイングリッシュナショナルバレエとかと仕事をさせていただいたんですけど、絶対ここには入れないなって思ったし、他の国立のカンパニーとかも絶対無理だなって感じたし、そういう大きいところを狙うっていう夢物語は、無理だなってそこで気がついたんです。

 

神戶> それは何才くらいの時ですかね?
河南> 18になる歳ですかね。
神戶> それは留学先の先生方からのアドバイスもあったんですか?
河南> ありましたね。

 

神戶> 自分の目標をただただ高く設定してそれを追うのではなくて、自分はこういう個性があるからこういう特徴があるカンパニーに、という風に冷静に選んでキャリアを作るという考え方は正しいと思うけれど、若い子達は普通は気づけない。

10 代ではわからないし、バレエ団に入ってからも気づいていない子が多いと思うので、河南さんはとても早くに気付いたんだなと思います。

 

河南> 自分に自信があったかって言われると、そんなこともなかったです。自分はもっとやれるからもっと努力してもっともっと、っていうタイプではなかったんですよね。もともと上を目指す素質はなかったんだろうなって思います。

神戶> バレエ団にも主役がいて、コールドがいて、全部のそのピラミッドで 成り立っているものだから、どこかが欠けたら無理ですよね。だから頂点を目指すことだけがバレエダンサーとして必要なことではないと私は思っていて、プロフェッショナルになるときにも、それこそどういうダンサーになりたい、どんな役を踊りたい、自分にはどこまでなら踊ることができそう、とか、そういうところま で考えながら進んで行ってほしいと思いますね。


河南> なんか日本人に限らず現代の子供達全員ですけど、多くの情報が得られる時代だ 

し、インターネットがあって、アイフォン一つで親と連絡できてっていう時代ですよね。自分たちの時代とは全然違うと思うんですけど。

神戶> そうですよね。国際電話一つかけるのにもすごく大変でしたよね。留学するにも覚悟が必要でしたね。 

河南> そうですね。簡単に、じゃあ行っておいでの時代ではなかったですね。 

 

 

 

今回はここまで。プロとして生きていくには、自分自身を冷静に見つめて状況を判断する力が求められるというお話、非常に的を得ていますね。
次回は留学に対しての考え方、プロを目指すということの意味について、お伝えします!

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