30秒でわかる結論
パ・バランセ・アン・トゥルナンは、バランセの3回の体重移動と揺れを保ちながら、4分の1回転または2分の1回転などで身体の向きを変えるステップです。最初の踏み込みはプリエで低く、次の足はドゥミ・ポワントで軽く、最初の足へ戻って再びプリエする流れを、回転の中でも失わないことが重要です。
- 意味
- 回りながら行うバランセ
- 基本リズム
- 3拍子または3つの動き。長い1歩+軽い2歩
- 回転角度
- 4分の1回転または2分の1回転が基本
- 高低差
- 下・上・下の柔らかな揺れ
- 体重移動
- 第1歩・第2歩・第3歩で支持脚を明確に交換
- 注意
- 回転を優先して揺れ、プリエ、終点を失わない
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バレエTVより|モデル・監修:神戸里奈先生。足の順番だけでなく、最初のプリエ、中央のドゥミ・ポワント、回転後の視線と終点まで確認してください。
パ・バランセ・アン・トゥルナンとは
Gail Grantの海外技術辞典は、バランセをパ・ドゥ・ヴァルスに似た「揺れるステップ」と説明しています。体重を一方の足からもう一方へ移し、前後左右、クロワゼ、エファセなどの方向で行えます。
balancé en tournantは、そのバランセに方向転換を加えたものです。同辞典では、回転は4分の1回転または2分の1回転で行えるとしています。複数回を連続すれば、舞台上を円形や斜めに移動する振付にも発展します。
意味・語源・表記
| フランス語 | 意味 | バレエでの意味 |
|---|---|---|
| pas | 歩、ステップ | 一つまたは複数の動作。 |
| balancé | 揺れた、釣り合いを取った | 左右・前後へ体重を移す揺れのある3歩。 |
| en tournant | 回りながら | そのステップの実行中に身体の向きを変える。 |
フランス学士院辞典はbalancerを、左右または上下へ往復するように動かすこと、釣り合いを取ることと説明しています。古い版には、舞踊で「Balancéと呼ばれるステップを行う」という用例もあります。
正式表記:pas balancé en tournant。検索ではアクセントを省いたpas balance en tournantも使われます。
通常のバランセの構造
まず回転なしのバランセを理解する必要があります。横方向の代表的な形は、次の3回の支持脚交換で構成されます。
- 第1歩:進行方向へデガジェし、その足へプリエで踏み込む。身体も同じ方向へ柔らかく傾く。
- 第2歩:反対脚を後ろまたは前のクペ付近へ置き、ドゥミ・ポワントで軽く体重を移す。
- 第3歩:最初の足へ戻り、踵を下ろしてプリエする。次の方向への準備を作る。
| 局面 | 高さ | 質 |
|---|---|---|
| 第1歩 | 低い | 長く踏み込み、揺れを開始 |
| 第2歩 | 高い | 短く軽いドゥミ・ポワント |
| 第3歩 | 低い | 最初の足へ戻り、次へつなぐ |
3歩へ回転をどう配分するか
回転角度を一度に完成させようとすると、バランセの揺れが失われます。4分の1回転や2分の1回転を3歩へ分け、足の置き場所と身体の向きを少しずつ変えます。
- 終点を決める:90度か180度か、最後にどこを見るかを確認する。
- 第1歩で回転を始める:進行方向へプリエで踏み、骨盤と胸郭を新しい方向へ運び始める。
- 第2歩で中央を通る:ドゥミ・ポワントの足へ立ち、回転途中の軸を高く保つ。
- 第3歩で終点を完成させる:最初の足へ戻り、踵を下ろして新しい方向のプリエを作る。
足の回転量は必ずしも3等分ではありません。振付や方向に応じて、第1歩で大きく向きを変え、第2・第3歩で終点を整える場合もあります。
4分の1回転と2分の1回転
| 比較 | 4分の1回転 | 2分の1回転 |
|---|---|---|
| 方向変化 | 90度 | 180度 |
| 難しさ | 揺れと終点を保ちやすい | 足位置・視線・骨盤の調整が増える |
| 練習 | 正面から横、横から後ろなど | 正面から後ろ、斜めから反対斜めなど |
| 注意 | 回らなさすぎて通常の横バランセにならない | 最初の一歩で身体だけを投げない |
海外技術辞典が示す基本は4分の1・2分の1回転です。一回転の見える振付でも、複数のバランセをつないで段階的に方向を変えている場合があります。
基本的なやり方:4分の1回転
- 終点を見る現在の方向から90度先の舞台方向を確認します。
- プリエで準備する足裏全体を使い、膝と足先をそろえます。
- 第1歩を新しい方向へ踏むデガジェから足へ移り、柔らかいプリエで揺れを開始します。
- 胸郭と骨盤を運ぶ肩だけを回さず、支持足の上へ身体全体を移します。
- 第2歩を軽く置く反対脚をクペ付近へ置き、ドゥミ・ポワントで高さを作ります。
- 視線を終点へ運ぶ頭を力で振らず、エポールマンに沿って新しい方向を見る。
- 第3歩へ戻る最初の足へ体重を移し、踵をコントロールして下ろします。
- 新しい方向でプリエする次のバランセやステップへつなげます。
3回の体重移動
回転中も、3歩すべてで支持脚が入れ替わります。足だけを置き換え、体重が中央へ残ると、回転も揺れも不安定になります。
| 適切 | よくある崩れ |
|---|---|
| 第1歩へ骨盤が移り、反対脚が自由になる | 両足に体重が残り、第2歩が遅れる |
| 第2歩のドゥミ・ポワント上で一瞬高くなる | 足を置くだけで体重が移らない |
| 第3歩へ戻り、静かなプリエで終わる | 回転後に足音が大きく、身体が外へ流れる |
一歩ごとに短く静止できる速度で分解すると、支持脚交換を確認できます。
揺れを失わないために
アン・トゥルナンでは回転へ注意が向き、バランセ本来の揺れが平らになりやすくなります。揺れは肩を左右へ振ることではなく、プリエとドゥミ・ポワントによる重心の上下、左右・前後への移動から生まれます。
- 第1歩を最も長く、柔らかく踏む
- 第2歩を小さく軽くし、高さを作る
- 第3歩で床へ戻り、次のフレーズを準備する
- 頭頂の線を保ち、腰から横へ折れない
- 腕と胸郭を揺れの方向へ連続させる
- 回転角度より音楽の3つの動きを優先する
足部・膝・股関節のアライメント
プリエする足
- 母趾球・小趾球・踵で床を捉える
- 膝を足先の方向へ曲げる
- 回転方向へ足だけを床へねじ込まない
- 踵を急に浮かせず、床を押して移動する
ドゥミ・ポワントの足
- 足首を脛の下へそろえる
- 母趾側へ倒れ込むローリングインを避ける
- 小趾側へ逃げるシックリングを避ける
- 足趾を握らず、前足部を広く使う
股関節・骨盤
- ターンアウトを足先ではなく股関節から保つ
- 一歩ごとに骨盤を支持足の上へ運ぶ
- 支持側の股関節へぶら下がらない
- 回転時に骨盤だけを急に先行させない
上体・腕・エポールマン
上体の揺れは、足の体重移動を拡張して見せます。第1歩側へ柔らかく傾き、第2・第3歩で戻りますが、肩だけを動かしたり、腰を横へ折ったりしません。
- 支持脚側のウエストを潰さない
- 胸郭を骨盤から引き離さず、曲線として傾ける
- 腕を背中から運び、手先で身体を引っ張らない
- 肩をすくめず、首を長く保つ
- 新しい方向のエポールマンを第3歩までに完成する
頭・視線・スポッティング
4分の1・2分の1回転では、ピルエットのように頭を鋭く切る必要はない場合が多く、視線をエポールマンとワルツの流れへ統合します。ただし、回転後の目標を決めないと方向が曖昧になります。
- 開始前に終点の視覚目標を決める
- 第1歩で頭を落とさず、揺れの方向を見る
- 第2歩から終点へ視線を移す
- 第3歩で新しい方向を明確に見る
- 速い連続では視覚目標を毎回そろえる
バレエの姿勢制御研究では視覚情報の役割が報告され、回転研究でも視覚参照が方向の正確さを助ける可能性が示されています。
回転方向と移動方向
en tournantは「回りながら」を意味し、アン・ドゥオールまたはアン・ドゥダンを自動的に指定するものではありません。振付では、開始足、進行方向、身体の終点を組み合わせて判断します。
- 前方へ進みながら4分の1回転
- 横方向へ揺れながら2分の1回転
- 斜めを交互に向く連続バランセ
- 円形に進むマネージュ的な組み合わせ
- 前後のバランセから方向転換する形
似ているステップとの違い
| 用語 | 主な特徴 |
|---|---|
| balancé en tournant | 3歩の揺れを保ちながら4分の1・2分の1回転などを行う。 |
| balancé de côté | 横へ揺れる基本形。身体の方向を大きく変えない。 |
| pas de valse | 3歩のワルツステップ。バランセに近いが、教授法や振付で移動・足位置が異なる。 |
| pas de bourrée en tournant | 細かな3歩で方向を変えるが、バランセ特有の下・上・下の揺れを主目的としない。 |
| tour lent | 一つのポーズを保ち、支持足の踵を少しずつ動かす遅い回転。 |
| pirouette | ドゥミ・ポワントまたはポワント上で連続的に回転する。 |
3拍子と音楽性
バレエTVは、バランセを3拍子の曲に合わせて前後左右へ揺れるステップと説明しています。代表的には、1拍目を長く踏み、2・3拍目を軽くまとめます。
| 拍 | 動作 | 音楽的な質 |
|---|---|---|
| 1 | 進行方向へプリエで踏む | 長い、重みのある始まり |
| 2 | 反対脚へドゥミ・ポワントで移る | 軽く、高く |
| 3 | 最初の足へ戻る | 柔らかく着地し、次へ渡す |
「1・2・3」を同じ強さで踏まず、1拍目から次の1拍目へ続く大きな波として踊ります。回転はその波の方向を変えるものです。
このステップで養うもの
- 3拍子の中での体重移動と高低差
- プリエとドゥミ・ポワントの連続性
- 揺れを保ちながら方向を変える能力
- 足部・膝・股関節のアライメント
- 骨盤と胸郭を支持足の上へ運ぶ能力
- 腕・頭・視線を足の運びへ統合する能力
- 4分の1・2分の1回転の空間認識
- ワルツ、アダジオ、センターでの流動的な音楽性
よくある失敗と修正方法
- 回ることだけを急ぐ:4分の1回転へ戻し、3歩と揺れを先に整える。
- 3歩が同じ高さになる:第1・3歩はプリエ、第2歩はドゥミ・ポワントを明確にする。
- 第1歩が短い:1拍目を長く使い、進行方向へ体重を運ぶ。
- 第2歩へ体重が移らない:ゆっくり片脚静止し、反対脚を軽くできるか確認する。
- 第3歩で足音が大きい:踵とプリエをふくらはぎ・足部で減速する。
- 足を床へ固定してねじる:新しい方向へ足を置き直し、膝と足先をそろえる。
- 足首が内側へ倒れる:ターンアウトと回転量を減らし、前足部全体で立つ。
- 小趾側へ逃げる:踵を脚の後ろへ保ち、足首を中央へ戻す。
- 膝が内側へ入る:プリエを浅くし、股関節からの外旋を保つ。
- 肩だけを振る:足裏・骨盤・胸郭から一つの揺れを作る。
- 腰から横へ折れる:両側のウエストを長く保ち、曲線を大きくする。
- 腕で回転を引っ張る:足の置き場所と体重移動から方向を変える。
- 視線が床へ落ちる:回転後の舞台方向を先に決める。
- 終点が曖昧:床に90度・180度の印を置いて練習する。
- 速さで揺れが消える:音楽を遅くし、1拍目を長くする。
安全に練習するために
このステップでは、プリエ、ドゥミ・ポワント、方向転換、左右への体重移動が連続します。回転を急ぐと、足部を床へ固定したまま膝や骨盤だけを回す代償が生じやすくなります。
- 通常の横バランセを安定させてから回転を加える
- 4分の1回転、足裏全体、ゆっくりした音楽から始める
- 第2歩のドゥミ・ポワントで足首を中央に保つ
- プリエで膝と足先をそろえる
- 床の摩擦に応じて歩幅と回転量を調整する
- 疲労で足首・膝・骨盤が崩れたら休む
段階的な練習方法
1.回転なしのバランセ
横・前・後ろへ行い、下・上・下と3回の支持脚交換を確認します。
2.終点だけを変える
最後の第3歩で身体を少し新しい方向へ向けます。
3.4分の1回転を3歩へ配分する
足位置を床へ印し、一歩ごとに方向を変えます。
4.反対方向も練習する
左右で回転の得意・不得意を確認し、歩幅を調整します。
5.2分の1回転へ進む
第2歩で回転途中の軸を保ち、第3歩で180度の終点を完成します。
6.腕と頭を加える
足と体重が安定してから、ポール・ド・ブラと視線を組み合わせます。
7.連続して円形に進む
複数の4分の1回転をつなぎ、同じ歩幅とリズムを保ちます。
8.音楽のテンポを上げる
揺れ、終点、足首が崩れない範囲だけ速くします。
指導者が伝えるときのポイント
- 通常のバランセを先に完成させる:回転前に3歩と高低差を確認する。
- 回転角度を明示する:4分の1か2分の1か、終点を床で示す。
- 足順と支持脚を分けて教える:どの足を置き、どの足へ立つかを説明する。
- 1拍目を長くする:3歩を均等な小刻みにしない。
- 揺れを肩だけで作らせない:プリエ・ルルベ・骨盤移動から生み出す。
- 第2歩の足首を見る:短い瞬間でもローリングインやシックリングを修正する。
- 視線の終点を指定する:回転中に床だけを見させない。
- 腕は最後に加える:足と体重を理解してから表現を広げる。
- 流派・振付差を認める:クペの前後、腕、回転配分を唯一の形に固定しない。
- 痛みを我慢させない:床、靴、歩幅、回転量、疲労を見直す。
よくある質問
パ・バランセ・アン・トゥルナンとは何ですか?
pas balancéはどのような意味ですか?
en tournantは何という意味ですか?
何度回転しますか?
足の順番はどうなりますか?
バランセは必ず3拍子ですか?
回転中にスポットをつけますか?
バランセとワルツステップは同じですか?
上体はどのように使いますか?
足首や膝に痛みがある場合も続けてよいですか?
海外参考文献・公式資料
本記事は、既存のバレエジャポン動画事典、バレエTV、海外の古典技術辞典、フランス語の公的辞書、IADMS資料、姿勢制御研究を中心に構成しています。足の交差、クペの前後、腕、回転配分には教授法と振付による違いがあります。
- 既存ページバレエジャポン「パ・バランセ・アン・トゥルナン」 — 公開日、動画、モデル・監修を確認。
- 公式動画解説バレエTV「パ・バランセ・アン・トゥルナン」 — 3拍子、前後左右への揺れ、回転しながら行うステップ。
- 古典技術辞典Gail Grant, Technical Manual and Dictionary of Classical Ballet. Internet Archive全文 — balancéの体重移動と、en tournantの4分の1・2分の1回転。
- 公的フランス語辞典Dictionnaire de l’Académie française, “balancer” — 左右・上下へ往復する動き、釣り合い。
- 語義資料同辞典 “balancement” — 平衡点の周囲での往復運動。
- 仏語資料CNRTL, “tournant” — 曲がること、方向の変化。
- 足部教育IADMS, “Stretching the Point: Part 1” — ドゥミ・ポワントと足部アライメント。
- 膝・脚の整列IADMS, “Alignment of the leg and its impact on the dancer’s knee”.
- 下肢のねじれIADMS, “To torque or not to torque”.
- 視覚・姿勢制御“Postural control of ballet dancers: a specific use of visual input for artistic purposes.”
- 視覚と回転“Does a visual reference help ballet dancers turn more successfully?”
- 掲載動画Vimeo動画 ID 331903342。
注:本記事の3歩と回転配分は、共通原則を理解するための整理です。開始足、クペの前後、腕、頭、回転方向、終点は実演動画と所属する教授法の指示を優先してください。
動画・記事クレジット
回転の中でも、1・2・3の揺れを消さない
動画では、何度回ったかだけでなく、最初のプリエが長く使われているか、第2歩で軽く高くなっているか、第3歩で新しい方向へ柔らかく下り、腕と視線が同じワルツの中にあるかを確認してください。
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