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8つの方向とさまざまなポーズ - 坂口忍先生

8つの方向とさまざまなポーズ

Points de la salle・croise・efface・ecarte

バレエでは、身体がどの方向を向き、脚をどこへ出すかによってポーズの見え方が変わる。ワガノワ・メソッドで用いる8つの方向を基準に、アン・ファス、クロワゼ、エファセ、エカルテなどの基本的なポーズを整理する。

用語情報

題材
8つの方向とさまざまなポーズ
教授法
ワガノワ・メソッド
方向の基準
正面を1番とする8方向
主な用語
en face/croise/efface/ecarte
関連用語
epaulement/devant/derrière/arabesque/attitude

ワガノワ・メソッドの8つの方向

教室や舞台の正面を1番とし、そこから時計回りに2番から8番までを定める。番号は、身体が向く方向や移動する方向を示す共通の目印となる。ここでは踊り手が正面を向いたときの左右で説明する。

正面・客席・鏡の方向

8左斜め前
1正面
2右斜め前
7左横
踊り手中央に立つ
3右横
6左斜め後ろ
5真後ろ
4右斜め後ろ

図の上が正面。左右は正面を向いた踊り手から見た方向。

たとえば「2番を向く」は身体の正面を右斜め前へ向ける指示であり、「2番へ進む」はその方向へ移動する指示となる。方向を向くことと、その方向に進むことは別である。

番号の注意:これはワガノワ・メソッドで用いる番号の並びである。チェケッティやRADなど、ほかの教授法では番号の付け方が異なる。異なる流派のレッスンでは、最初に正面と番号の対応を確認する。

身体の向きから生まれる基本のポーズ

8つの方向は空間の位置を示す。一方、クロワゼやエファセなどは、身体の向きと脚の関係によって生まれるポーズの名称である。同じ8番を向いても、どちらの脚を出すかによって別のポーズになる。

アン・ファス(en face)

身体の正面を観客側へ向ける配置。基本練習では1番の方向を向く形が代表的で、脚や腕を左右対称に使う動きにもよく用いる。

クロワゼ(croise)

斜め方向に身体を向け、観客から見たときに脚が交差する関係をつくる。前へ脚を出すドゥヴァンと、後ろへ出すデリエールがある。

エファセ(efface)

斜め方向を向き、観客から見て脚の交差が強く現れない開いた関係をつくる。クロワゼと同様、ドゥヴァンとデリエールがある。

エカルテ(ecarte)

身体を斜めに向け、動脚を横方向へ伸ばすポーズ。ドゥヴァンとデリエールでは脚を開く方向や、一般的な頭・視線の使い方が異なる。

右脚を使ったポーズの見分け方

  • クロワゼ・ドゥヴァン身体を8番へ向け、右脚を前に出すと、観客から脚が交差して見える。
  • エファセ・ドゥヴァン身体を2番へ向け、右脚を前に出すと、観客から脚が開いて見える。
  • エカルテ・ドゥヴァン身体を8番へ向け、右脚を横の2番方向へ開く。腕や視線の使い方によって斜めの広がりを表現する。

反対脚では左右を入れ替えて考える。腕や頭の具体的な配置は、ポーズの種類、教授法、振付に応じて変わる。

ドゥヴァンとデリエール、腕と視線

ドゥヴァン(devant)は身体に対して「前」、デリエール(derrière)は「後ろ」を表す。クロワゼやエファセでは、脚を前へ出すか後ろへ出すかでポーズ名が変わる。エカルテでも前後の区別があるが、動脚そのものは基本的に横へ開く。

エポールマン(epaulement)は、肩の向きに頭と視線、上体の使い方を結び付け、ポーズに奥行きを与える要素である。脚の位置だけを合わせるのではなく、肩のラインと視線の向きを意識することで、クロワゼとエファセの違いがより明確になる。

斜めのポーズでは、骨盤や膝を強くねじって形をつくる必要はない。足を安定して支え、上体を無理なく方向付けることを優先する。

さまざまなポーズへの発展

小さなポーズと大きなポーズ

脚のつま先を床に置いたポーズから始め、慣れてきたら脚を持ち上げたポーズへ発展する。脚の高さだけに目を向けず、立脚の安定、身体の向き、腕と視線の関係を保つことが大切である。

アラベスク(arabesque)

片脚で立ち、もう一方の脚を後ろへ伸ばしたポーズ。ワガノワ・メソッドでは第1から第4までのアラベスクを学び、身体の向き、腕の配置、視線によって異なるラインをつくる。第1・第2はエファセ、第3・第4はクロワゼの関係を基礎とする。

アティチュード(attitude)

持ち上げた動脚の膝を曲げたポーズ。クロワゼやエファセなどの身体の向きと組み合わせることができる。アラベスクとの主な違いは、上げた脚の膝を伸ばしているか曲げているかにある。

センターレッスンでの練習方法

  1. 最初に1番の正面を決める

    正面を固定し、2番と8番の斜め前、3番と7番の横、4番と6番の斜め後ろ、5番の後ろを確認する。

  2. 脚を動かさずに身体の向きを変える

    まずは大きな脚の動きを加えず、身体の正面を1番から2番、8番などへ向けて方向を覚える。

  3. クロワゼとエファセを比較する

    同じ右脚のドゥヴァンでも、8番を向く場合と2番を向く場合で脚の重なりがどう見えるか確かめる。

  4. 腕と頭、視線を合わせる

    腕の形を増やし、肩の向きと視線を組み合わせてポーズを完成させる。首や腰だけを大きくひねらない。

  5. 音楽とともにポーズをつなぐ

    ポーズを一つずつ止めて覚えたら、タンデュやタン・リエなどと組み合わせ、方向の変化を音楽に合わせて練習する。

学ぶときのポイント:8方向の番号と、クロワゼ・エファセなどのポーズ名は別の情報である。身体の向き、支持脚と動脚、頭と腕の配置を分けて理解すると、センターレッスンの指示を整理しやすくなる。

名称について

フランス語のen faceは「正面を向いた」、croiseは「交差した」、 effaceは「輪郭が薄れた・目立たなくなった」、ecarteは「離れた・開いた」といった意味を持つ。 devantは「前」、derrièreは「後ろ」を表す。名称を身体の向きや脚の配置と結び付けると、形を理解しやすい。

「8つの方向」は一つのパの名称ではなく、教室や舞台で用いる空間の基準である。方向番号とポーズ名を併用することが、ワガノワ・メソッドの基本的な考え方となる。

バレエ動画辞典モデル

坂口忍先生(Shinobu Sakaguchi)

忍バレエスクール国分寺主宰。東京高等バレエ学校講師。バレエ安全指導者資格®認定講師。

福岡でバレエを始め、カナダ・ナショナル・バレエ・スクールに留学。卒業後はヨーロピアン・バレエ、ナショナル・バレエ・オブ・アイルランド、ノルウェー国立バレエ団、スウェーデン王立バレエ団などで活躍。アイルランドではプリンシパルとして『白鳥の湖』『眠れる森の美女』などの主役を務めた。

2008年に帰国し、2014年に忍バレエスクール国分寺を開校。2022年にはワガノワ・バレエ・アカデミーのクラシックバレエ教授法基本プログラム全課程を修了し、ディプロマを取得。複数のバレエコンクールで最優秀指導者賞を受賞している。

現在は幅広い年齢の生徒を指導するほか、バレエ安全指導者資格®の講師としても活動。バレエTVでは「バレエベーシック」シリーズのお手本を担当している。

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